目に見えない空気中の変化を画像解析で見れるの?
おはようございます🌞
アシストユウの小幡です!
本日もお越しいただき、ありがとうございます。
今日は緊急ブログとして、山口・宇部市で起きた広範囲のガス漏れ事故を踏まえつつ、
「目に見えないガスをカメラで検知することは本当にできるのか?」
というテーマでお話しします。
実は技術的には可能
山口・宇部市で何が起きたのか?
12月4日早朝、山口県宇部市の広い範囲で都市ガスが漏れ出し、少なくとも22カ所で建物火災が発生しました。
ガス会社によると、街中にガスを送る途中にある「整圧器(ガバナ)」と呼ばれる圧力調整機器に不具合が生じ、
家庭側のガス管に通常の約12倍という異常な圧力がかかってしまった可能性が高いと説明されています。
その結果、
• 「栓は閉めて寝たのに、朝起きたら元栓のところから火が10cmくらい上がっていた」
• 市内全域で約1万2千世帯へのガス供給が止まり、復旧のメドもすぐには立たない
といった声や状況が報じられています。
ガスそのものは目に見えません。
だからこそ「気づいた時には火が出ていた」という、最悪に近いシナリオになってしまう。
ここで出てくるのが、今日のテーマです。

目に見えないガスは「カメラ」で見えるのか?
結論から言うと、技術的には“かなりの範囲で”可能です。
しかもすでに海外では実用化され、産業現場で普通に使われています。
ポイントは「空気とガスの“光の吸い方の違い”」
空気のほとんどは窒素と酸素ですが、都市ガスに使われるメタンやプロパン、工場で使う各種ガスは、
特定の赤外線の波長だけをよく吸収する“指紋”のような性質を持っています。
そこで海外メーカー(たとえばFLIRなど)は、
• 特定のガスがよく吸収する赤外線の波長だけを通す「フィルタ」
• その波長にだけ感度の高い赤外線センサー
を組み合わせた 光学式ガスイメージング(OGI: Optical Gas Imaging)カメラを開発し、
メタン・炭化水素・二酸化炭素・SF₆・冷媒ガスなど、数百種類のガスを“煙のようなモヤ”として可視化できるようにしています。
簡単にいうと、
「空気だけの画」と「空気+ガスが混じった画」の
ほんのわずかな濃淡の違いを、赤外線カメラと専用フィルタで強調して見せている
というイメージです。
まさにユーザーさんが言ってくださった通り、
「空気中に混ざるガスの“成分の差分”を拾って見ている」世界です。
どこまで実用レベルなのか?
OGIカメラはすでに、
• 石油・ガスプラントでのメタン漏れ検査
• 変電所でのSF₆漏れ監視
• 冷媒ガスの漏えいチェック
などで日常的に使われています。
従来は作業員が「鼻で匂いを嗅ぐ」「センサーを当てて回る」しかなかったところを、
遠くからカメラで配管全体をざっと見て、モヤッと出ているところを一発で特定できるようになったため、
安全性とコストの両面で評価されています。
さらに最近は、
• OGIカメラの映像をディープラーニングで解析し、
• ガスの“モヤ”を自動でセグメンテーション(領域抽出)してアラートを出す
といった研究も進んでいます。
つまり「カメラでガスを見て、AIが自動で検知する」は、
研究段階どころか、実用にかなり近いレベルまで来ています。
とはいえ、万能ではない
ここはちゃんと書いておきます。
• すべてのガスが同じカメラで見えるわけではない(ガスごとに“得意な波長”が違う)
• ガスの濃度が薄すぎると、空気とのコントラストが小さくなり見えない
• 背景温度や風などの条件で見え方が大きく変わる
といった制約があります。
それでも「何も見えないより、どこからガスが噴き出しているかを“ある程度”見える」という意味で、
都市ガスや工業ガスの多くは、カメラによる検知が技術的に十分射程に入っていると言えます。

もし街や家にカメラ型ガス検知を入れたら?
ここからは「技術的に可能」という前提で、
民間や家庭に落とし込んだときのイメージを描いてみます。
① 家庭:キッチンや給湯器まわり
現状、日本の家庭向けでは ガス警報器(センサーボックス) が主流です。
これは空気の成分を直接測る「鼻」の役割をするもので、カメラは使っていません。
ただ、将来的には:
• システムキッチンのレンジフードや壁面に小型カメラを内蔵
• 人・炎・煙の検知に加え、「ガスのモヤ」も監視
• 「炎が出ているのに鍋がない」「炎が強すぎる」「ガスのモヤが広がっている」など、
複数の異常を組み合わせてAIが判断
という構成は十分考えられます。
単体のカメラだけで完結させるというよりは、
カメラ+安価なガスセンサー+AI解析
のハイブリッドが、コストと信頼性の両面で現実的です。
② ガス会社・自治体:ガバナや貯蔵設備の常時監視
今回の宇部市のケースでは、
「ガバナの不具合で、家庭側に異常な圧力がかかった」ことで、街中のあちこちで一斉に火が出ました。
ここに OGIカメラ+AI監視 を組み合わせると、例えば:
• ガバナ施設や減圧設備の周囲に、
ガス専用カメラを設置して常時モニタリング
• ガス管やバルブの周りで「通常は見えないモヤ」が出始めた瞬間にアラート
• さらに圧力センサーの値とも連動させ、
「圧力がおかしい&映像的にもガスが噴き出している」 という条件で即座に遮断
という「二重三重の安全策」が張れます。

③ 移動式ネットワークカメラ「モニタリングミックス」通称:MICS(ミックス)に組み込んだらどうなるか?(屋外編)
ここからは、いつものMICS目線の話です。
MICSの屋外AIカメラは、すでに以下のような機能を持っていますよね。
• 人・車両・重機などの検知
• 立入禁止エリアへの侵入検知
• 転倒・うずくまりなどの行動検知
ここに ガス検知の目 を足すとしたら、例えば3層構造が考えられます。
1. 通常の可視光カメラ
o 現場の様子(炎・煙・人の動き)を把握
2. 赤外線・OGIモジュール
o 特定ガスのモヤを可視化(メタン系、プロパン系など)
3. AI解析(MICS側)
o 「ガスのモヤが出ている方向」と「人や火気」の位置を重ねてリスク評価
o 危険度に応じてアラートレベルを変え、
音・光・クラウド通知などで即時共有
適用シーンとしては、
• 工事現場のガスボンベ置き場
• トンネル工事やシールドマシン近傍
• 工場のタンクヤード・ボイラー周り
• LPガス集中配管の集合メーター付近
などがイメージしやすいと思います。
人の目・匂い・計器だけに頼るのではなく、
カメラで“見えない危険”を補完するという方向性は、かなり筋がいいと感じます。

④ 民間化への課題とロードマップのイメージ
もちろん、すぐに「各家庭にOGIカメラを1台ずつ」とはいきません。
• 高感度の赤外線カメラはまだ高価
• ガスの種類ごとに最適な波長帯が違う
• 風・雨・日射など屋外環境の影響をどう吸収するか
といった課題があります。
現実的なロードマップとしては:
1. ステップ1:産業・インフラ向け(今ここ〜近未来)
o ガス会社や工場の重要設備に固定式OGI+MICS AIを導入
o 「まずは人が入りづらい・事故時のインパクトが大きい場所」から
2. ステップ2:商業施設・大規模集合住宅
o 商業ビルのボイラー室や集合配管まわりをカメラ監視
o 火災・不審者検知とセットで「ガス漏れ検知」もパッケージ化
3. ステップ3:家庭向けライト版
o 完全なOGIではなく、
「安価な赤外センサー+AI+従来のガス警報器」の組み合わせで
“賢いガス見守りカメラ” 的な商品へ
という階段を想定すると、
技術の延長線上で十分狙える世界だと思います。

いま、私たちにできる対策
最後に、今回の事故を受けての現実的な対策をまとめておきます。
家庭でできること
• ガス警報器を設置し、寿命(5〜10年目安)を過ぎていないか確認
• 「おかしい匂いがする」「コンロの火の様子が変」と感じたら、
o 火気厳禁
o 元栓を閉めて窓を開ける
o ガス会社・消防に連絡
• 非常時に備えて、家族で「ガスの止め方」「避難ルート」を共有
事業者・現場側でできること
• ガス設備(ボンベ置き場・ガバナ・ボイラー室など)の死角を洗い出す
• カメラ・センサー・巡回の役割分担を整理し、
「誰も見ていない時間帯」を極力ゼロにする
• 将来を見据えて、
o 赤外線カメラ
o OGI機能付きカメラ
o それらを解析するAIプラットフォーム
をどこにどう組み込むか、構想レベルから検討しておく

今日のまとめ
• 山口・宇部市では、整圧器(ガバナ)の不具合により
通常の約12倍のガス圧が家庭側にかかり、広範囲でガス漏れと火災が発生しました。
• 海外では 光学式ガスイメージング(OGI)カメラ により、
メタンや各種工業ガスを「モヤ」として可視化する技術がすでに実用化されています。
• 原理的には「空気とガスの赤外線の吸収の違い=成分の差分」で検知しており、
AIと組み合わせた自動検知の研究も進んでいます。
• コストや環境条件などの課題はあるものの、
インフラ・工場・現場向け→商業施設→家庭という順で民間化していく筋道は描けます。
• MICSにOGIや赤外センサーを組み合わせることで、
「ガスのモヤ」まで見張る屋外AI監視という新しい価値を提供できる可能性があります。

次回は通常ブログに戻します。
次回は、「バイオマス発電所建設におけるMICS活用」というテーマでお届けします。
本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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現場からは以上です。
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